裏日本観察学会・突撃巡礼隊

各地の寺院や神社、霊場の参詣記、納経帳(御朱印)の記録を中心に、面白スポットや街角で見たものなども紹介します。 ※写真(サムネイル)はクリックすると拡大します。

2017-11

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大湧谷(神奈川県箱根町) 平成19年11月9日

画像 033関西に住んでいると活火山とか、硫黄臭漂う光景というものに出会うことがない。
大湧谷はたくさんの観光客であふれていたが、そんなことはまったく気にならないほど、初めて見るような光景だった。
辺り一面の硫黄臭にところどころ吹き出るガスや温泉。地球の動きを感じさせる。


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天気が良ければ芦ノ湖や富士山も見えるのだろうが、午後から曇り空となったので、望むべくもない。その半面、荒涼とした風景によりすごみが増したともいえる。
名物の黒玉子をゆでる温泉もすごいにおいがする。

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入り口には弘法大師がこの地を鎮めるために刻んだという、延命地蔵菩薩が安置される。多くの人が行列をなして地蔵尊を参拝していた。
ここも箱根の「地獄」だったのだろう。


画像 036名物の黒玉子。6個で400円なり。
温泉の鉄分と混じって唐が黒く変色したもので、むくと中身は普通のゆでたまご。白身が少しもちもちしたような触感だった。
とはいえ、1人で6個も食いきれない。2個食べた後、近くにいた老夫婦におすそ分けした。


 その後、強羅へと降りて宮城野温泉へと向かう。今夜の宿は「いこい荘」。少し古びた温泉宿だが、掛け流しの湯が楽しめる場所。大湧谷で冷えた体を温めようと早速浴場へ。小さな湯船だが一人ではいるのは充分すぎる大きさ。お湯は無色透明で無味無臭。少し熱めだが、なぜかしらいつまでも入っていることができる。ものすごく体に優しいお湯だ。
 体もほかほかしてきたし、少し散策しようかなと町に出たがごくごく普通の山あいの集落。その上、雨も降り出してきたので急いで宿に戻り、ロビーでくつろぐことにした。宮城野の地誌が置いてあったので、パラパラと眺める。旅先で地誌を読むと本当に旅情を感じる。
 もう一度入浴して食事とする。豪華なおかずはなかったが、一品一品が丁寧な料理。部屋に戻って文庫本を読んでいると、外の雨音が大きく聞こえてきた。どうか治まってくれよと願いつつ、いつの間にかうとうとして記憶が途切れてしまった。
 2時間ほど眠ってしまったか、もう一度体を温めてから寝ることにしようと浴場へと向かう。雨は少し治まったようだ。
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元箱根石仏石塔群(神奈川県箱根町) 平成19年11月9日

画像 028芦ノ湖を離れて元箱根を過ぎ、観光客の喧噪から離れた場所。近くには精進池があり、物寂しい秋の景色の中に石仏群がある。
二十五菩薩と通称される地蔵菩薩の磨崖仏。岩肌に小さな尊像が幾つも彫られている。


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華やかな芦ノ湖周辺の景色とは対照的なまでに、荒涼とした風景。山岳霊場でこのような場所は、賽の河原信仰や三途の川信仰と結びつく。ここは箱根では「異界」への入り口だったのだろう。精進池も名前から察するに、芦ノ湖という「浄土」に入るために禊ぎを行った場所ではないだろうか?
八百比丘尼の墓と伝えられる砕けた宝篋印塔が、池の畔にひっそりと建つ。

画像 031

周囲は遊歩道が整備されていて散策するには、なんら苦労はない。地下道をくぐって車道反対側に建つ六道地蔵堂へ。
巨大な丈六の磨崖仏で、真新しい小堂に安置されている。



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箱根神社(神奈川県箱根町) 平成19年11月9日

箱根神社
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観光地だから人は多いと予想して、平日に休みを取ったのは正解だった。箱根神社の参拝者はほどよい程度の人数。これ以上多いと落ち着かないし、かといって人がいなさ過ぎるのも、ちと物寂しい。そう思いつつ参道の石段を歩む。
途中に曾我兄弟を祀る曾我神社が建つ。

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石段を登り切ると砂利が敷き詰められた境内が広がり、その奥に赤く塗られた神門、さらに奥に社殿が建つ。
祭神は瓊瓊杵尊・木花咲耶姫命・彦火火出見尊で、総称して箱根大神。箱根三所大権現の本地仏は文殊(法体)・弥勒(俗体)・観音(女体)。

画像 024社殿の右隣には九頭竜神社新宮が建つ。
芦ノ湖に住み人身御供を取っていた毒竜を、箱根開山の万巻禅師が降伏し、以後は箱根の鎮守となったという伝説がある。
竜は水神だから、古代の芦ノ湖には人身御供によって祀られる水神が祭祀されていたのだろうか? それが箱根が修験化する過程で、仏教の不殺生思想からそれが止められ、古代の水神を箱根修験に取り込んだという話なのだろうか。


芦ノ湖
参拝後は宝物館で鉾根修験にまつわる遺品などを拝観。万巻禅師の尊像や箱根本地仏曼荼羅も展示されていた。
そして、平和の鳥居から芦ノ湖を眺めつつ、湖底奥底に鎮まる九頭竜大明神に念誦する。

名称未設定 2
箱根神社納経朱印

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箱根関所跡(神奈川県箱根町) 平成19年11月9日

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 『頭文字D』よろしく、「羊腸の小径」と歌われたつづら折りの箱根街道を走り、一路芦ノ湖方面へ。その途中に名物「甘酒茶屋」に立ち寄る。この茶店は案内板によると、『忠臣蔵』で神崎与五郎が詫び証文書く下りの舞台とのこと。
 甘酒を頼むと、蕗のしょうゆ漬けも付いてきた。しみじみとした素朴な甘さに、蕗のほろ苦さが調和する。風が吹くたびにさらさらと葉が落ちてくる。やっぱり関西よりも秋が進んでいるんだな。

(ところで『頭文字D』のタイトルが、『江頭D』に見えるのは私だけなのかしら…)


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芦ノ湖近くの駐車場に車を止めて、旧街道の杉木立を散策。「昼なお暗き」は昔の話と、続く足で関所跡へ。
「入り鉄砲に出女」というが、「入り鉄砲」は浜名湖付近の新居関で念入りに調べられるので、箱根の主眼は「出女」とのこと。

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いかめしく高札や槍などを並べて、当時の様子を再現。
オモチロイなと思ったのは展示される侍や足軽、馬などの人形。これらはすべて彩色が施されていない。その理由は、関所再建の元となった資料には、衣服などの形状は分かっても生地や色、毛並みまでは不明。だから後生に誤った時代感を残すことを避けるため、勝手な彩色をすることなくモノクロのままにしたという。その心意気やよし。

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大雄山(神奈川県南足柄市) 平成19年11月9日

 前日の夜から東名高速を走って箱根へと向かう。途中少し目が疲れたのでサービスエリアで一休みしていたら、絵に描いたようなチンピラが、何かしゃべりながらこっちに近づいてきた。「な、何事だ?」と思ったが、とりあえず素数を数えながら目薬を差したら、いつの間にか消えていた。それでも気味悪いのですぐに出発。どうやら追いかけてくる様子もなかったので、次のサービスエリアで仮眠を取る。
 翌朝、大井松田ICを降りて市街地を走り抜け、大雄山へ。参道には土産物屋が何軒か並んでいるが、来るまでは深山幽谷の寺かと思っていたが、予想外に町に近い山寺だった。

大雄山最乗寺・曹洞宗
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比較的町に近いとはいっても、さすがに山の霊気を感じる木々が立ち並ぶ。
境内は広く、修行道場の僧堂が置かれている。

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書院(左)と本堂(右)。
本尊は釈迦如来。脇士に文殊・普賢。

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金剛水堂には、病気を治すという霊水がわいているので、一口頂く。
鐘楼には竜などの飾り彫りがされていた。鐘楼では珍しいように思えた。

画像 004結界門。
大雄山は天狗信仰の山。この門から、境内鎮守の天狗、道了薩埵(どうりょうさった)が祀られる御真殿へと続く。


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門の両脇には烏天狗と鼻高天狗がにらみを効かしている。
この鼻高天狗は学研の『修験道の本』の表紙にもなっていた。

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石段を登り切ると御真殿。堂内には天狗像や面などが奉納されている。
道了薩埵の本地仏は十一面観音。道了は大雄山開祖の了庵慧明禅師に仕えた修験者で、禅師遷化後に、山内守護のため天狗となって昇天したという。
道了薩埵はいわゆる鼻高天狗ではなく、顔は鳥、体は不動尊で狐の乗った姿という、秋葉三尺坊同様の飯縄権現系の姿。
大雄山のほか、東海には奥山や秋葉など天狗信仰の古刹は多いが、いずれも曹洞宗というのが面白い。

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巨大な鉄下駄が奉納されている。夫婦和合のご利益があるとのことだ。その周りにも小さな鉄下駄が幾つもある。


画像 010天狗信仰は火伏せと結びつく。
境内の回廊にはまといを描いた消防団の絵馬が奉納されている。


画像 011鳶や左官職人の信仰も篤いようだ。


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大雄山納経朱印

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Author:山カズ大王
裏日本観察学会会長
仏歴2518年(昭和50年)生誕

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