裏日本観察学会・突撃巡礼隊

各地の寺院や神社、霊場の参詣記、納経帳(御朱印)の記録を中心に、面白スポットや街角で見たものなども紹介します。 ※写真(サムネイル)はクリックすると拡大します。

2007-03

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舘山寺(静岡県浜松市舘山寺町) 平成19年3月4日

 近江国の名の由来は、“近い「あはうみ(淡海)」”つまり琵琶湖。対して遠江は“遠い「あはうみ」”。言うまでもなく浜名湖だ。そんな浜名湖の名所といえば舘山寺。歌川広重の『諸国名所図会』にも描かれている。

20070306155635.jpg温泉宿や鰻料理屋が並ぶ、そんな温泉街の突き当たりの、小高い山に舘山寺は建つ。
正面に見える鳥居は愛宕神社。その右隣に参道の石段が伸びる。看板には「浜名湖岸新四国第二十七番」と書かれていた。「弘法大師」や「秋葉大権現」と染め抜かれたのぼりが何本も続く。
山号:舘山
寺号:舘山寺
宗派:曹洞宗

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本尊は虚空蔵菩薩。
開山は弘法大師とされ、もともとは真言宗だったが、明治の廃仏毀釈で廃寺。その後、再興された際に曹洞宗となった。

20070306155720.jpg20070306155735.jpg本堂左には可睡斎から勧請した秋葉三尺坊が祀られる。
堂内には巨大な天狗の絵馬が掛けられていた。

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境内から眺めた浜名湖の景色。
かんざんじロープウェーや遊覧船が見える。

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裏山の穴大師。
弘法大師が籠もったという岩穴で、眼病平癒のご利益があるという。中は畳一畳分ぐらいの狭さで、ろうそくの明かりがゆらゆらと揺れて神秘的な気分になる。

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舘山の周囲には遊歩道があるが、その中で一番の絶景という恋の岬での風景。
ロマンチックな地名だが、かつて心中があった場所だという。

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舘山寺境内とは地続きで、愛宕神社が鎮座している。

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舘山寺納経朱印

 この日は舘山寺温泉に泊まりたかったのだが、宿が確保できなかった。そこでさらに南下して雄踏温泉にある浜名湖ロイヤルホテルに泊まる。
 部屋からは夕日に染まる浜名湖が一望できた。
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テーマ:寺巡り - ジャンル:旅行

事任八幡宮(静岡県掛川市) 平成19年3月4日

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複数、一宮が存在する国は幾つかあるが、ここ遠江もその一つ。先の小國神社と今回の事任八幡宮。袋井市からバイパスを通り、掛川市内の少し外れ。旧東海道沿いに鎮座している。
社号:事任(ことのまま)八幡宮
遠江国一宮

20070306155324.jpg『延喜式』「神名帳」にある「己等乃麻知神社」とされ、『枕草子』や『海道記』などにも著述されているとう。後に八幡が合祀され「八幡宮」と称したが、戦後に現社号になったという。
「ことのまま」は「意のままに願いが叶う」ということ。小國神社も「許当麻知神社」と称していたとあったが、関係があるのだろうか。
石段を上った社殿の右奥には、高さ36.5mという巨大な杉が、また右手前にも大銀杏がある。

20070306155344.jpg本殿。
祭神は己等乃麻知媛命(ことのまちひめのみこと)、誉田別命(ほんだわけのみこと:応神天皇)、息長帯比売命(おきながたらしひめのみこと:神功皇后)、玉依比売命(たまよりひめひめのみこと)。
手前は五社神社。

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境内中央に生える大楠。天いっぱいに枝を伸ばし、さながら天然の日傘のようだ。
巨木に囲まれ、まるで木魂が宿っているかのような社頭だった。

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事任八幡宮納経朱印

テーマ:神社めぐり - ジャンル:旅行

法多山(静岡県袋井市) 平成19年3月4日

 遠州三山巡りも最後の段、法多山尊永寺となる。火伏せの可睡斎、眼病平癒の油山寺、そしてここは厄除けだそうだ。三山それぞれご利益に独自色があるのが面白い。
 袋井市街を抜けて茶畑を通り過ぎると、広大な駐車場が数カ所あるが、いずれもほぼ満車状態という盛況ぶり。係員のおじさんに理由を聞くと「今日はお茶湯日(ちゃとうび)と日曜が重なったからね」とのこと。
 お茶頭日というのは毎月ある縁日のこと。3月4日にお参りすると百日分お参りしたと同じご利益だそうだ。ちなみに7月10日なら四万六千日分だそうだ。

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国重文の仁王門。
参拝者がひっきりなしに歩いているので、シャッターチャンスがなかなかこなかった。
山号:法多山(はったさん)
寺号:尊永寺
宗派:高野山真言宗

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本坊の黒門は、旧塔頭正法院の山門。
その名の通り、なかなか渋い風情だ。

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山の中にある寺院ではないが、参道は木々に囲まれていてる。


20070306154436.jpg石段を上りきると、その広々とした境内に少し驚く。天気の関係もあるのだろうが、もの凄くすがすがしい雰囲気だ。本堂前には祈祷を終えた人が、お札を受け取るための行列ができている。
本尊は正観世音菩薩。本堂内にはいると薄暗い内陣では護摩が修法されていた。
参拝後、本堂を出ると行列はもっと延びていた。

納経朱印をお願いすると、老僧が話し掛けてきた。
 「どちらからお越しですか」
 「京都です」
 「はぁ、いいところですね。生まれも京都ですか?」
 「いえ、兵庫県の北。但馬です」
 「但馬ですか。私も冬になると香住によく行きますよ」
 「あぁ、その香住です」
 「えぇ、香住ですか。だったら、○○さんってご存じですか。長くここに勤めてたんですが」
 「その人だったら、孫が自分と同級生ですよ」
お互いに驚いた。寺務所の受付にはたくさん人がいたのに、たまたま納経をお願いした人とこんな会話をするなんて…。縁というのはホントに異なものだ。

20070306154508.jpg名物の厄除だんご。“だんご”とあるが生地は丸いだんご状ではなく、5つにつながった円筒状。茶店の前ではお土産用に持ち帰る人で長蛇の列。
行列のできるお寺だね。

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尊永寺納経朱印

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油山寺(静岡県袋井市) 平成19年3月4日

 袋井市内には遠州三山といい先の可睡斎、そして法多山、油山寺と3ヶ寺がある。いずれも信仰の寺として多くの参詣者を集めている。ここ、油山寺は眼病平癒で名高い。可睡斎からは比較的に近くに建っている。寺号の由来は、昔この地に油が湧いていたからだという。

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国重文に指定される山門は寺院のものではなく、もともとは掛川城の大手門で、明治初めに掛川城主が眼病平癒のお礼として寄贈したもの。
山号:医王山
院号:薬王院
寺号:油山寺(ゆさんじ)
宗派:真言宗智山派

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参道に「健足の道」なる健康センターを思わせる物件。
鎮守である天狗の軍善坊権現が足腰のご利益があるからだ。

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参道正面をそのまま進むと本坊に着く。
不動尊を祀る宝生殿では住職が法話をしていた。

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宝生殿に掛けられていた絵馬。眼病平癒を祈願するものだろうか、銭で「め」と書かれている。このような絵馬は幾つもあった。
ちなみに穴あき銭は鳥目(ちょうもく)ともいう。


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書院の梁に掛けられた「世界一願い事が叶う大念珠」。
ここにも「め」の絵馬がある。


20070306153901.jpg本坊に納経帳を預けて本堂へと向かう。
参道は木々に囲まれちょっとしたハイキングコースという感じだ。
ちなみに、ここの地名は天狗谷。この森に棲むムササビは天狗の使いだという。

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国重文の三重塔は、源頼朝が寄進したもので県内最古。
大日如来を祀る。

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本堂は工事中だったが、幸いに外装だけなので堂内に入ることはできた。
手前のお堂は大師堂。


20070306153957.jpg本尊は薬師如来。行基菩薩が孝謙天皇の眼病平癒を祈願したところ、霊験が現れたという。
突撃巡礼隊では各地の寺社に足を運ぶが、寺院では一切三宝報恩謝徳。神社では大小神祇威光倍増の為に参詣し、個人的な祈願は基本としてしないが、目が悪いので「眼病平癒」と聞くと普段よりも、読経念誦に力が入る。

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本堂左側に軍善坊が祀られる。
提灯に描かれた葉団扇以外に、天狗らしさは感じられない。

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眼病平癒を祈る奉納品が堂内を埋める。

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本坊前に置かれていた天狗杉の切り株。

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境内茶店で売られていた「ごりやくまんじゅう」。
「め」と描かれた酒饅頭です。

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油山寺納経朱印

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可睡斎(静岡県袋井市) 平成19年3月4日

 日本八天狗といい、「愛宕山太郎坊(京都)、比良山次郎坊(滋賀)、鞍馬山僧正坊(京都)、飯綱三郎(長野)、大峰前鬼(奈良)、彦山豊前坊(福岡)、大山伯耆坊(鳥取)、白峰相模坊(香川)」が古くから知られているが、このうち現在でも天狗信仰としての命脈を保っているのは、鞍馬山ぐらいしかない。
 対して遠江国は全国でも珍しい天狗信仰が現代でも息づいているところである。先述した奥山半僧坊、後述する油山軍善坊、初山龍文坊。それ以外にも、春埜山太白坊、菊川火剣坊、無間山一寸坊、竜雲寺福天坊、森の大日山繁昌坊等、天竜の光明山利鋒坊、磐田三好坊、岩水寺地安坊・・・などなど、遠州の天狗に関する資料を調べただけでも、大小さまざまな天狗が伝わる。

20070306152739.jpg そんな遠州天狗の元締めともいえるのが秋葉山三尺坊だ。しかし神仏分離で別当の秋葉寺は廃寺(後に復興される)。秋葉台権現は秋葉神社と改称され、三尺坊は山上から秋葉寺の本寺であった可睡斎へと移された。そのため「秋葉総本殿」と名乗っている。
 権現信仰を守った可睡斎の功績は称えられるべきだろうが、しかし昨日登った秋葉の山並みの素晴らしさを思うと、「山の上にとどまっていたら、より天狗らしいのになぁ」と、名高き天狗三尺坊が里に祀られていることの理不尽さと、神仏分離という愚挙愚策に対する一層の腹立たしさを覚えた。
山号:萬松山
斎号:可睡齋(かすいさい)
宗派:曹洞宗

20070306153032.jpg法堂。本尊は聖観世音菩薩。この寺は珍しく寺号、院号ではなく斎号を名乗っているが、これは初めは東洋軒とあったのが、11代山主の仙麟等膳和尚が徳川家康の目の前で居眠りをしたところ、その無心な姿に快く思った家康が「和尚、寝るべし」と言った。そこから可睡斎と改称したという。居眠りをして褒められるという、のび太ならうらやむようなエピソードだろう。

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座禅堂。

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本堂の左側にある大黒堂。
巨大な下駄が奉納されていた。

20070306153417.jpg秋葉三尺坊大権現を祀る御真殿。本地仏は聖観音。三尺坊は戸隠山出身の行者周国が、越後常安寺の三尺坊で修行し、飛行自在の法力を得たという。その後、秋葉山にとどまり神として祀られ、後世に火伏せの神、秋葉大権現として全国にその信仰は拡大した。
天狗が火伏せの神として信仰される例は多い。日本一の大天狗、太郎坊の鎮まる愛宕山も火伏せ信仰だ。『平家物語』に「太郎焼亡」、『方丈記』に「次郎焼亡」という名の大火が記されるが、中世、都では大火は天狗が引き起こすものと考えられていた。荒ぶる天狗を祀り鎮めることで火事を防ごうとしたのが、後世の防火神としての天狗信仰を形成していったのだろうか。

20070306153433.jpg20070306153446.jpg御真殿の石段、左右に置かれた天狗像。ただし、三尺坊の姿は所謂、山伏姿の鼻高天狗ではなく、顔は鳥。体は翼の生えた不動尊で白狐に乗った姿。これは長野県の飯綱山系統の信仰でよく見られる尊像。三尺坊は戸隠出身だから、飯綱信仰が秋葉山へと広まったのだろう。

20070306153503.jpg堂内の天井や梁には天狗面などが多く奉納されている。
正面には秋葉権現の真言として「オン ヒラヒラ ケンヒラケンノウ ソワカ」と書かれた札が掛けられていた。この真言は天台系修験では金毘羅権現の真言としている。いずれにせよ正式な密教経典には記されない、日本の修験者が創作した真言。つまり、「オン 毘羅毘羅 金毘羅天王 ソワカ」がなまったもので、江戸期では金毘羅も天狗信仰と結びついたので、秋葉権現の真言ともされたのだろう。

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書院玄関に飾られていた牡丹。可睡斎は牡丹の名所でもある。

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可睡斎納経朱印

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Author:山カズ大王
裏日本観察学会会長
仏歴2518年(昭和50年)生誕

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